Milano

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2016年のマグナム・フォトグラフィー・アワード(Magnum Photography Award 2016)を受賞した ダギー・ウォレス(Dougie Wallace)。彼の拠点であるロンドン、ショーディッチ地区で、12年間、スナップを撮り続け、まとめた写真集『Shoreditch Wild Life(ショーディッチ・ワイルド・ライフ)』は、富裕層によって変わりゆく街で起こる、スーパーリッチたちの奇妙な欲求を、風刺的に捉えた彼の代表作でもある。

また、サウジアラビアのショッピングモールで、グローバル展開されるアパレルショップのショウ・ウィンドーに並ぶポスターやポップの女性の顔にモザイク加工が施され、マネキンには顔がないという、イスラム教を奉じる同国での不思議な光景を捉えた『Lifting the veil(リフティング・ザ・ベイル)』も印象深い。

そして、彼のもうひとつの代表作である写真集『Harrodsburg(ハロッズバーグ)』では、UKの高級百貨店、ハロッズ(Harrods)で買い物を楽しむ、主に湾岸諸国の富裕層が、過剰すぎるメイクや身なりで、ブランド物のショッピングバッグを両手いっぱいに抱えた姿を、シニカルな視点で収めた作品がある。

ダギー・ウォレスは、資本主義経済の歪みに垣間見える、いびつな現代社会のリアルを写しだしてきた。そんな写真家が、〈人間の最愛の友〉ともいえる愛玩犬と、その飼い主に焦点をあてた新たなシリーズ〈Well Heeled(ウィール・ヒールド)〉を、ここでは紹介する。出会った富裕層が愛犬をつれている光景に違和感をおぼえ、ロンドン、ミラノ、ニューヨーク、東京で撮影。この作品は、2017年10月にデウィ・ルイス・パブリッシング(Dewi Lewis Publishing)より出版される予定である。

ここでは、ダギーが7月に来日し撮影した、東京シリーズを中心に、彼のインタビューも交え紹介したい。

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New York

London

今回、犬シリーズのプロジェクトを始めたきっかけを教えてください。

以前コルトーナ・オン・ザ・ムービー(Cortona on the Movie)の依頼で、ミラノの街をテーマにした撮影をしました。撮影のコンセプトは、裕福な買い物客と彼らが高級車に乗っている様子でした。買い物客については、充分なほど撮影できたのですが、車に乗った買い物客はそれほど見当たらず、数枚しか撮影できませんでした。高級車の代わりに目についたのが、愛玩犬を連れている買い物客の姿でした。そこで、犬とその飼い主をテーマに撮影を始めました。

今回のプロジェクトは、ロンドン、ミラノ、ニューヨーク、東京をまわり撮影するというものです。それぞれ、どの地区を拠点に撮影していたのですか?

ロンドンでは高級百貨店〈ハロッズ〉などがあるナイツブリッジ地区、ミラノでは高級ブティックが並ぶクアドリラテロ地区(ゴールデン・レクタングル)とヴィア・モンテナポレオーネ(モンテナポレオーネ通り)、ニューヨークでは5番街とセントラルパークで撮影しました。東京では銀座をまわったりしたのですが、中国人などアジア人の観光客が多く、犬を連れている人を、あまり見かけなかった。そのため、主に代々木公園と渋谷で撮影しました。基本的には富裕層が集まり、買い物を楽しむ地区を中心に撮影しました。

それぞれの都市の特徴を教えてください。

ニューヨークで出会った犬は、病気にかかっていたり、どの都市よりもストレスを感じているようでした。ロンドンの犬は、ミニマムな着こなしで、とてもスタイリッシュでした。イングリッシュ・ブルドッグなど、高価な犬種が最も多かったのはミラノで、一番着飾っていたのは東京の犬です。しかも、ベビーカーに乗せられている犬もいました。日本では当たり前なのかもしれませんが、英国では信じられないと驚かれるでしょう。

Tokyo

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Tokyo

個人的には飼い主のパーソナリティーが、写真に現れるのが面白いと思います。東京を例に例えると、着飾るという点で飼い主もアクセサリーをフンダンに身につけていたり、飼い主の趣味嗜好を犬にも投影させているように感じます。したがって、犬を撮っているようで飼い主のパーソナリティーをも撮っているようですね。

私はペットの〈アクセサリー化〉に興味があります。ペットを擬人化する〈親〉たちは、自分の髪型にかけるのと同じくらいの金額を、ペットのグルーミングにつぎ込みます。人間のような表情やユーモアをみせ、カメラに抜け目のなさそうな顔を向けています。毛並みを整えられ、甘やかされた〈毛皮を着た子供〉の、爪、肉球、歯、よだれで湿った毛、濡れた鼻に、私はカメラの焦点を当てているのです。このような撮影方法を選択することで、写真には、犬の特徴がありありと浮かび上がり、彼らが動物であると改めて認識させます。犬という動物は、クリスタルの首輪やルイ・ヴィトンのリードを着け、ベビーカーで連れ回されていますが、本来はウサギを追いかけ、骨をかじる動物であるのを思い出せてくれるはずです。

例えば野良犬などが、本来の犬の姿に近いということですね。

一番最初に犬を撮影したのは、インドのゴアのビーチでした。これは〈Goan to the Dogs(ゴーン・トゥ・ザ・ドッグス)〉というシリーズです。6週間毎日ビーチの犬を撮り続けました。この犬たちには飼い主がいません。来年この本を出版できたら、富裕層の飼い犬のシリーズ〈ウィール・ヒールド〉と比較して、裕福な犬へのアンチテーゼとしても興味を持ってもらえるはずです。

また、作品を通して、被写体との接写距離が、ものすごく近いのに驚きます。撮影の際にトラブルなど起きないのでしょうか?

2足歩行の人間が普段は見れない、犬の視点を意識してカメラを向けています。撮影でのトラブルは、犬の撮影の件では大丈夫でした。彼らは追いかけてきて、「写真を消してほしい」などと言わないので。一方でアラブ諸国の人々からは、とても嫌われていますがね(笑)。

写真を撮るうえでの技術的な条件(天候など)、理想的なシチュエーションはありますか。

1日につき数時間、夕方の陽の光が理想です。今はオリンパスのE-M1 Mark2を使用していて、上下に2つのストロボをつけています。2つのストロボをつけると露出をより簡単に下げられ、しかも、このカメラは軽いので、どう動くか予想しにくい犬を追うのにも、素早く対応できます。

あなたが写真を通して伝えたいメッセージを教えてください。

特にありません。自分が面白いと感じるものを撮り、いわゆる〈プロジェクト・メンタリティ〉を通じてストーリーを創るのが好きです。しかし、私が物事に対して、何らかの立場をとると思われているのなら、写真が公の場に出た時点で、その意味を決めるのはみなさんです。

幼少期に、このようなテーマを取り上げる具体的なきっかけはあったのですか。

昔は子犬でしたが、今は成犬になりました。

そもそも、写真を始めたきっかけを教えてください。

何年も前に世界中をバックパッカーとして旅行したときに、ネパールで安いカメラを買いました。その時からずっと写真を撮っています。そのあと、拠点のひとつであるロンドンのショーディッチで何年も撮影に取り組み、それをもとに最初の写真集、『ショーディッチ・ワイルド・ライフ』を出版しました。

あなたの過去の写真を含めて、一部の富裕層が求める〈美〉に対するアンチテーゼを感じます。あなた自身は、どのような〈美〉が美しいと思いますか?

いいケツです。

では、好きな女性のタイプは?

上に同じく。

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